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もうすぐ半世紀、曲がり角に来たサンディエゴ・コミコン? 「サンディエゴコミコンレポート2016」-前編-

堺三保(さかいみつやす)
63年大阪生まれ。作家/脚本家/翻訳家/評論家=よろず文筆業。評論・翻訳は、英米の娯楽小説、映画、テレビドラマ、コミックスが専門。テレビアニメのSF設定や脚本の仕事も。2007~10年、南カリフォルニア大学映画芸術学部に留学。卒業後は従来の仕事に加え、映画を撮りたくて悪戦苦闘中。

【もうすぐ半世紀、曲がり角に来たサンディエゴ・コミコン?】
世界最大のコミックイベント、いや、今やコミックのみならず、ゲーム、トイ、映画、テレビドラマなどを含んだ、世界最大のオタク系サブカルイベントと化しているのが、毎年7月にアメリカはカリフォルニア州サンディエゴで開かれる「コミックコン・インターナショナル:サンディエゴ」、通称サンディエゴコミコン(SDCC)だ。
参加者約13万人、開催期間4日間の延べ参加人数は50万を越すという、まさに世界最大規模のイベントである。
本稿では今年のSDCCの様子や見どころをざっと紹介しつつ、その愉しさをお伝えしていきたい。

■年々進む映画イベント化
SDCCがコミックやゲーム、フィギュアなどのコアなマニアたちだけのモノだったのは、一昔前のこと、今やSDCCといえば、毎年大勢の映画スターや有名監督たちが新作の宣伝にやってくる、映画ファン垂涎のイベントとなっている。というのも、今やハリウッドのメジャー映画会社がその命運を託す超大作映画と言えば、派手なアクションや大仕掛けな特撮がメインのSF映画やファンタジー映画、中でもアメコミ原作のスーパーヒーロー映画が大人気となっており、その一番の宣伝会場として、全米のおたくが集まるSDCCが選ばれるようになったという事情がある。
特に転機となったのは2007年の「アイアンマン」に始まるマーベルスタジオ製作の映画シリーズがヒットし始めた頃からだろうか。映画やテレビだけでなく、音楽、書籍など、広いジャンルを扱うエンタテインメント総合雑誌《エンタテインメント・ウィークリー》を初めとする、大手メディアが続々と取材にやってくるようになり、それに合わせるように、ゲストたちもどんどん豪華になっていった感がある。
ハリウッドから車で数時間。がんばれば日帰りも可能という絶妙な距離感と、基本的にはおとなしくて行儀の良いおたくたちがお客さんだという安心感が、スターたちを喜楽にさせているとかいないとか、そんな話もあったりして。

■今や一番人気! ハリウッドスターたちのプレゼンに徹夜で行列する人々
あいかわらずメインの客層はおたくの人たちではあっても、この10年間で急増した参加者の何割かは、もはやコミックファンというよりも映画ファン、それもスターたちを一目見たいという人たちが占めている。彼らこそ、映画スターたちが登壇する新作映画プレゼン企画に殺到する人々だ。
このプレゼン企画、各映画会社が連日入れ替わり立ち替わりして行われるのだが、あまりにも観覧希望者が多いため、会場(ホールHという名前の、収容人数6500人の大ホール)が他の展示とは完全に分離されていて、毎朝、通常の入り口とは別の入り口から入場することになっている。問題はこの入場待ちの人数がめちゃくちゃ多い上に、前日の朝にはもう待ち行列ができはじめてしまっているというところにある。いくらホールHが収容人数6500人という巨大ホールだといっても、それに対してSDCCの参加者数は約13万。つまり参加者の5%しか、ホールHに入ることはできないのだ。そりゃ徹夜の大行列もできようというものだろう。
そんなわけで、映画スターたちを生で見たい人は、他の展示を観に行くのはあきらめて、最低2日はホールHに詰めていることになる。しかもそのうち一日はホールの中じゃなくて外で、夜間の野宿つきとなるのだ。
実は、このホールHでのプレゼン、そこで流される予告編などはすぐにネットにアップされるし、会場内でのスターたちの様子は、数時間後に別の場所にあるスクリーンで放送されるのだが、ファンにとっては「生で見る」ことがあくまでも大事であり、毎年行列は長くなる一方なのだった。
今年も、ハリポタシリーズの番外編『ファンタスティック・ビースト』、50周年を迎えたスタトレシリーズの新作『スター・トレック ビヨンド』、DCコミックス原作映画の最新作『スーサイド・スクワッド』、『ワンダーウーマン』、『ジャスティス・リーグ』、マーベル・コミックス原作映画最新作『ドクター・ストレンジ』、『ブラック・パンサー』、『スパイダーマン ホームカミング』等々、製作者や出演者たちが勢揃いして、多くのファンを湧かせていた。
……らしい。いや、実は、筆者は野宿して行列してる人たちを横目に見つつ、本会場に通ってたもんで、ホールH中は覗いてないんですよ。すいません(苦笑)。

■街全体に広がるお 祭り騒ぎ
さらに近年では、映画やテレビ、ゲームといった、コミック以外のメディア関係企業の進出は、SDCCの会場となっているサンディエゴ・コンベンション・センターの外に広がるダウンタウンの町並みへと浸食していっている。
街中のホテル、レストラン、倉庫などといった場所を、それらの企業が借り上げ、会場外でも新作の宣伝を展開するようになっているのだ。
これは、一つには、すでに会場内のスペースが満杯で、ブースを増やす余地がなくなってしまっているためであり、もう一つには、会場の外でSDCC参加者以外の人々にも宣伝をアピールしようと目論んでいるためである。
もはや、SDCCのチケットは、発売開始30分以内に全13万枚が売り切れてしまうようになっているのだが、その一方でSDCCに参加を希望する人の数は増え続けているしたくても出来ない人も大勢出てきている。そういう人たちも含め、会場外で出展している企業は、サンディエゴの街の人々すべてにリーチしようとしているのだ。
今年はケーブルテレビ局のFXや地上波テレビ局のNBC、ゲーム会社の任天堂やSEGAなどに混じって、Amazonの配信部門やスタトレとコラボした化粧品会社など、新たな勢力も加わって、サンディエゴの街を賑わせていた。
さらに、タイミング良くリリースされたポケモンGOの流行によって、街中のレストランやバーがポケスポット化していたこともあって、まさにサンディエゴ市内全体が、大きなお祭り広場と化していたように見えていたのが印象的だった。

[アニメ!アニメ!ビズ/animeanime.bizより転載記事]

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