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「公開前に、映画の興行収入は明らかになる」TIFFCOMビジネスセミナーで驚きの発表

[細川洋平]

公開される映画の興行収入が、公開前に予測できるとしたら果たして映画制作の現場はどのように変わっていくのだろうか。東京・台場のホテル グランパシフィック LE DAIBAにて開催されたTIFFCOMにて2014年10月23日(木)、CRUNCHERS(クランチャーズ)によるビジネスセミナー『映画の収益性を予測する ―データサイエンスが刷新するコンテンツビジネス』が開催された。
大きく2部制で構成されたセミナーは、前半がCRUNCHERSの開発したデータ解析システムのプレゼンテーション、後半にはモデレーター1名に3名のパネリストを加えたパネルディスカッションが行われた。事前に発表されていたパネリストのも相まって、会場には多くの映画関係者が詰めかけ、熱い視線を送っていた。

■ 興行収入を予測する画期的ソフトウェア

CRUNCHERSとは、文藝賞受賞作家であり実業家の石井大地氏(作家名:今村友紀)と、2014年米チェルシー映画祭において、自身の作品『最後の命』が最優秀脚本賞を受賞した気鋭の映画監督の松本准平氏らによる企業である。その新進企業が「映画の興行収入を高い精度を持って予測する」シミュレーターをリリースする。

プレゼンターを務めた石井氏によると、映画の興行収入は大きく「プロモーション(公開直前)」「口コミ(公開後の伸び)」「休・祝日(ブースト)」という3つの要素で構成されているという。867本に及ぶ映画作品から解析を重ねた結果、最終的に60のチェック項目があれば映画を解析できるという結論に至った。その60項目に入力すると、3要素が算出されるという画期的なシステムである。
このシミュレーターはチェック項目に入力できるある程度の情報があれば、公開前の作品であっても予測できる。石井氏はこのシミュレーターを、「出資・企画立案」「シナリオ作成」「公開前プロモーション戦略」の3つの時期にそれぞれ活用して欲しいと述べた。
リリースは日本では11月、海外では2015年初旬を予定しているとのこと。価格は個人アカウントには99ドル、サポートを追加した企業アカウントには499ドルでの提供となる予定だ。多くのクリエイターを支援したいという思いからこの価格設定にしたのだと石井氏は語った。

■ 一戦必勝は果たして起こりうるのか

パネルディスカッションは、モデレーターを松本氏が務め、パネリストに石井氏、クラウドファウンディングのプラットフォームMotion Gallery(モーションギャラリー)を運営する大高健志氏、『スワロウテイル』や『愛のむきだし』などのプロデューサー河合真也氏を招いて行われた。

フジテレビ製作の映画『南極物語』から長く映画制作に携わる河合氏は、「映画の興行収入予測や成否は、経験と勘が大きく左右する。10作あれば2勝8敗が常で、その2勝が大きいから成り立っている。1戦必勝というのは難しい」としながらも、「このシミュレーターが実際に確証されて、変わっていくならそれは楽しみだ」と述べた。


■ クラウドファウンディングと組み合わせる

アニメーションでも『キックハート』(監督:湯浅政明)や『リトル・ウィッチ・アカデミア2』(監督:吉成曜)といった作品が全額、または一部の制作費をクラウドファウンディングによって集めた実績を持つ。
大高氏はクラウドファウンディングの特性に「資金を募るという行為自体で、プロモーションの役割を兼ねることができる」ことを挙げた。複数の会社が出資する製作委員会方式では作品に対して、参加する全社の意見一致が原則であり、「個性」といった部分では出しづらいところがある、と河合氏は指摘する。
対してクラウドファウンディングでは出資側が制作現場に対しての発言権を持たないことが多い。集められる金額の観点からも、実写映画においては、作家主義的映画やインディペンデント映画に向いている。もし、ここに興行収入を予測する精度の高いシステムが加われば、映画制作は格段に行いやすくなるだろう。

■未知数ではあるが期待は大きい

質疑応答では会場の映画関係者から多くの質問が寄せられた。プレゼンテーションでは、確かに高い精度があることが述べられたが、未来の話をするには未知数の部分があまりにも多い。海外でもリリースされることから、「文化の違いによる精度の検証はどのくらいされているのか」という質問が出た。石井氏は「文化(国)によって評価軸を変え、市場毎にカスタマイズしていくが、アルゴリズムは万国共通」と応えた。また、システムは「成熟した市場」であることを前提に作成されているため、例えば伸びしろの大きい中国といった国に対してはまた「もうひと工夫が必要と考えています」と加えた。

また、CRUNCHERSのHPでは随時、上映され ていく作品の検証を公開していく。制作サイドがある程度チェック項目を満たす情報を提供してくれさえすれば、公開が先の作品の検証も可能であるとして、関係者に協力を呼びかける場面も見られた。

予測シミュレーターがリリースされ、制作サイドが制作しながら、作品の規模感をつかむことが可能になれば、効率化だけではなく、最適化も進むようになるだろう。河合氏が言うように、業界には長年の蓄積された「経験と勘」という財産がある。それでも全ての作品をヒットに繋げることは不可能だ。CRUNCHERSの投じた一石がどのような波紋を生み出すのか、楽しみである。

CRUNCHERS
http://crunchers.jp/

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