日本の視覚効果の振興と発展を目的に開催されるVFX-JAPANアワードが今年で4回目を迎えた。歴史は浅いが、映像作品のなかでCGとVFXの役割がますます拡大することもあり、その注目は高い。
2016年3月3日には、東京・秋葉原UDXにて、京楽ピクチャーズ.PRESENT「VFX-JAPANアワード 2016 表彰式」が開催された。劇場映画からイベント・LIVE映像まで7部門に優秀賞の授賞を行った。またこの場で各部門の最優秀賞が発表された。 最優秀作品は、劇場公開実写映画部門に『バクマン。』、テレビ番組部門は『生命大躍進』、ゲーム映像部門は『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』だった。またCM・プロモーションビデオ部門は『ペプシ 桃太郎 Episode2/Episode3』、イベント・LIVE映像部門は『Panasonic 4K Movie』、先導的視覚効果部門は『HAPPY FOREST Realtime Tech demo』と多彩な作品が並んだ。そして劇場公開アニメーション映画部門は『アップルシードアルファ』に輝いた。 会場で優秀賞受賞作品も含めた28作品の映像も紹介された。2時間足らずの上映ではあったが、日本のCG、VFXの多様性、可能性を感じさせるのに十分なものだ。 CG、VFXと言えば、映像ファンにはSFやアクション映画を思い浮かべる人が多いかもしれない。しかし、ドキュメンタリー番組の『生命大躍進』や、先導的視覚効果部門の各作品は、映像への活用がそれにとどまらないことを示している。 劇場公開実写映画部門に映画『バクマン。』が輝いたことは、そうした状況を示しているかもしれない。ノミネートには『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN (前編)/ エンドオブザワールド(後編)』や『寄生獣 完結編』、『天空の蜂』といったCG、VFXを全面に押し出した作品があったが、これを破ってのものである。 授賞の挨拶に立ったピクチャーエレメントの道木伸隆氏の「爆発がなくても受賞いただける」との言葉が印象的だだった。『バクマン。』は主人公の2人がマンガに挑む様子を、様々なCG手法を駆使して描いた。 描かれる映像が全てゼロから作られるアニメーションも、VFXの主要カテゴリーだ。今回は、モーションキャプチャーからフォトリアルな映像を作りだした『アップルシードアルファ』が最優秀賞となった。他の3作品は、3DCGのキャラクターアニメーションに挑んだ『GAMBAガンバと仲間達』、2Dテーストのデジタルアニメーション『劇場版 シドニアの騎士』、そしてロトスコープをCGで処理をする『花とアリス殺人事件』。ここでもその映像表現は多彩だ。 最優秀賞のトロフィーを受け取った荒牧伸志監督は、「今日、最優秀賞を貰えるとは思ってもみなかった」と、それだけに嬉しそうな様子だった。「スタジオに戻ってみんなで祝いたい」とコメントした。 アニメではこのほかテレビ番組部門で、『アルスラーン戦記』と『ワンパンマン』が優秀賞を受賞した。映像分野における存在感の大きさを発揮した。 [数土直志] 一般社団法人VFX-JAPAN https://vfx-japan.com/ VFX-JAPANアワード2016 [最優秀賞] ■ 劇場公開実写映画部門 『バクマン。』 ■ 劇場公開アニメーション映画部門 『アップルシードアルファ』 ■ テレビ番組部門 『生命大躍進』 ■ ゲーム映像部門 『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』 ■ CM・プロモーションビデオ部門 『ペプシ 桃太郎 Episode2/Episode3』 ■ イベント・LIVE映像部門 『Panasonic 4K Movie』 ■ 先導的視覚効果部門 『HAPPY FOREST Realtime Tech demo』 [優秀賞] ■ 劇場公開実写映画部門 『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN (前編)/ エンドオブザワールド(後編)』 『寄生獣 完結編』 『天空の蜂』 ■ 劇場公開アニメーション映画部門 『GAMBAガンバと仲間達』 『劇場版 シドニアの騎士』 『花とアリス殺人事件』 ■ テレビ番組部門 『アルスラーン戦記』 『ワンパンマン』 『アイムホーム』 ■ ゲーム映像部門 『Splatoon(スプラトゥーン)』 『DARK SOULS III(ダークソウルIII)』 『Bloodborne The Old Hunters 』 ■ CM・プロモーションビデオ部門 『マルコとマルオの7日間』 『レノアハピネス 「香りトンネル」篇/「花のドレス」篇』 『VELLFIRE 覚悟(黒)篇』 ■ イベント・LIVE映像部門 『CU RIOSITY ESSENCE Concept Movie』 『ASTON MARTIN brand concept movie “HYPER ORGANISM”』 『“New Camry Dynamic but Gentle Atlantic Road” press conference movie』 ■ 先導的視覚効果部門 『滝のインスタレーション “Interactive Waterfall”』 『えのすい×チームラボナイトワンダーアクアリウム2015「花と魚~相模湾大水槽」』 VR作品『日光東照宮 国宝 陽明門』
提供元:アニメ!アニメ!
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