注目度:1.34
|
「旅に病で夢は枯野をかけ廻る」
松尾芭蕉の辞世の句と言われる、この句から読み取れるのは、 この世には二つの旅があるということ。 「行く旅」と「考える旅」。 「行く旅」とは、身体の外側に向かう、旅行。 「考える旅」とは、身体の内側に向かう、思考の旅。 松尾芭蕉は「奥の細道」で身体の外側に向かう旅をし、 病床に伏した後、身体の内側に向かう思考の旅をしたのだ。 わたしたちがこの展示を通して問いたいのは、この身体の外側と内側だ。 わたしたちは「行く旅」のグループと「考える旅」のグループの二手に別れ、 二つの旅に出ることにした。 「行く旅」のグループは旅行先で得たインスピレーションを 絵画やパフォーマンス、インスタレーションにして作品化した。 「考える旅」のグループは、弔いや神などの精神世界を旅して、思考し、作品化した。 わたしたちは二つの旅を通して、 自ずと「場所」について考えざるを得なかった。 「ここ」ではない別の場所に行くこと、いることとは何か? 精神世界やサイバー空間という、 物理的な空間からはみ出した場所に行くこと、いることとは何か? 「旅/考」展は、いわゆる旅行記でもなければ、 アーティスト・イン・レジデンスのようなものでもない。 二つの旅を通して、身体の外側と内側、物理的な場所と非物理的な場所について 思考を巡らせた痕跡であり、実験である。
※掲載情報について この近くで行われる他のイベント |
|